建設業の帳簿や資金繰り

建設業では、帳簿や資金繰りがより重要ってホント?

建設業は、ほかの業種にと比べて、その独特の商慣行があったりするので、会計業務(帳簿を付けること)がより重要な意味を持ちます。なぜそんなことになるのか?

ポイントは3つ。

1.そもそも建設業の許可や許可の更新に財務諸表が必要だから

建設業者は、誰でもできるというわけではなく、建設業許可を取らなければ営業できません(建設業法第3条第1項)。

それに、許可を取ったとしても、5年ごとに許可を更新しなくてはなりません。その申請の際に提出する書類として、決算書があります。

決算書といっても、税理士さんが作った決算書をそのまま使うことはできません。建設業許可用に書き換えないといけないのです。

この書類に不備があれば、もちろん許可は下りません。建設業会計に詳しいスタッフを雇えればいいのですが、そう簡単に人を雇えるものではありません。

2.公共工事の入札参加にとても影響するから

建設業者さんにとって、確実に回収できる(しかも前払い)公共工事は、安定した収益が約束された「おいしい仕事」といっても過言ではありません。ただ、公共工事を受注するには、入札に参加して落札しなければなりません。

公共工事の入札参加資格を取るために「ケイシン」と呼ばれる手続きを受けなければいけませんが、これが会計内容に大きく影響します。

また、入札(競争入札)は、発注者に最も有利な見積の提示及び品質や安全性を審査する方式が主流となっています。そうなると、同業他社よりも安い価格で、かつ利益を確保できなければなりません。

このために、きわめて精緻な会計処理が必要になることはいうまでもありません。このとき利用されるのが「管理会計」と呼ばれる手法で、これも税理士さんが作る「決算書」とはまるでちがうものになります。

3.工事完成までの期間が長いから

建設業特有の問題として、何より、工期の長いということがあります。

天候にも影響をうけるし、工期が長くなればなるほど、見積と実際とのギャップが生まれ、予定していた粗利を確保することができなくなるなんて話には枚挙にいとまがありません。

そうなると、当初の見積りより材料費や労務費が高騰し、支払いに四苦八苦するなんて事態にもなりかねません。

建設業会計の特徴

じゃあ、何がどう重要なの?

建設業は、工事の着工から完成引渡しまで長い期間がかかるので、売上高を計上するまでのサイクルが他の業種よりも長く、逆に完成したときに売上高が計上されるので、一気に大きな売り上げが上がるなんてことになります。

そこで、建設業では、このような特殊性をふまえて、他の業種とは少し違った独特な会計処理の方法があります。これを「建設業会計」といいます。

「建設業会計」は、基本的に工業簿記とほとんど一緒ではありますが、勘定科目が「売上高」と言わず「完成工事高」と言ったり、「仕掛品」と言わず「未成工事支出金」と言ったり、表現が独特です。

また、もうちょっと高度になると、売上高をいつ計上するかで、「工事完成基準」と「工事進行基準」という2種類の方法があったりします。

銀行対策にも重要

契約書や資金繰り表によって、返済原資(きちんと返済できるお金があるということ)を明確にしないと融資がおりないから。

契約が特殊―「工事契約」

建設業では「請負契約」が結ばれますが、これは基本的に完成と同時に対価を得ることになっています。もちろん、建設業以外でも請負契約はありますが、工事開始から引き渡しまで長期間にわたることが、建設業とほかの請負契約との大きな違いです。

だから、きちんと契約書を取って、仕事があることを証明できるようにしておくことが大事です。もちろん、建設業許可を取る際にも、契約書の存在は最重要ポイントです。

例えば、年商3億円の建設業者が5,000万円の短期運転資金を調達したいとなった場合

例えば、「資金繰りが厳しいので、銀行に融資を申し込んだが、相手にしてもらえない。」なんていうとき。多くの場合、銀行に対してどんな風に話をしているかというと・・・

決算書と試算表を持って、1億円の資金が必要だってことを話したりしている方が多いと思います。

ところで、1億円を5年返済で借りたら、返済資金として年間で2,000万円が必要になります。もし、決算書では50万円程度のキャッシュフローしかなかったら、この決算書だと逆に「ウチの会社には返すお金はありません」と銀行にアピールしていることになります。

ここで、1億円が必要な理由を考えてみます。たとえば、1億5,000万円の大型案件を受注したので、材料費など先出しになるものがだいたい1億円はいるということになるでしょう。

しかし、一方で、どれくらい回収できそうか考えたとき、工期が約1年で、着手時30%、中間で30%、完工時に40%という条件だったとしたら、材料などの支払の時期と入金の時期を擦り合わせら、だいたい5,000万円の資金があれば何とかキャッシュを回していけそうだということになります。

そうなると次の資料が必要になります。

  • 当該案件の原価などを明確にした売上原価表
  • 5,000万円の資金を借入し、中間金と完工時の入金できちんと返済できることが分かる資金繰り計画表

また、資金繰り表だけではなく、工事台帳も一緒に提出すると有効な場合も多いです。

なぜなら、

建設業は、1件の金額が大きいうえに、毎月の売上が一定しているわけではないので、未回収の売上金や立替えた材料代などの金額も大きく変動します。そういう点を悪用して、決算の数字をごまかしたりしてしまうこともあるため、銀行もそういうところを慎重に見てきます。

そういうとき、とても有効なのが、「工事台帳」です。

金融機関が工事台帳から読み取りたい内容はいくつかあります。

工事台帳をきちんと付けていれば、工事ごとの利益状況が分かります。各工事の利益率が分かれば、決算書の利益をごまかしたりしていなことが分かるので、決算書の内容が正しいと納得してもらえます。

また、工期を管理することにもつながるので、今後どのように工事が進行し、いつ頃売上が立つかの説明にもなるので、業績の見通しを説明するときにも信ぴょう性が増して、融資してもらいやすくなります。

つまるところ、

  • 建設業では決算書だけで業績を説明するのは無理です。
  • 工事台帳があれば、工事ごとの利益も分かるし、決算書が正確なんだと裏付けできます。
  • 工期も管理できるので、今後の売上の見通しも納得してもらえます。
  • そのうえで、資金繰り表を作成すれば、全体のお金の流れも説明できて、融資の相談もスムーズにいくでしょう。

中小企業の資金繰り戦略:試算表から資金繰り表へ

「資金繰り表」という言葉自体は、経営者なら耳にタコができるほど聞かされる言葉ですが、そもそも、なんで、こうまで「資金繰り表、資金繰り表」とうるさいのでしょう?

それは、ズバリ、決算書(とか試算表)は、お金の流れを書いているわけではないからです。

決算書で、いくら業績が良くっても、「それに見合う現金がある」ということは書かれていないのです。決算書ってそういうものなのです。

ちょっと乱暴な言い方すると、決算書って税金を計算するためだけの書類でしかないのです。決算書を一番欲しがるのは税務署くらいなもんです。

逆に、決算書の内容が少々悪くったって、現金をたらふく持っていたら銀行さんはとてもいい顔して何でも相談に乗ってくれます。

そういうわけで、「現金」の流れ(言い方を変えれば、「通帳の残高の動き」と言ってもいいです)が書いてある「資金繰り表」が重要視されるわけです。

「資金がショートするかどうか」を読み取れるのが「資金繰り表」なのです。

ほとんどの経営者さんは、何らかのかたちで資金繰り表を作ったことがある(もしくは、銀行から「資金繰り表」を出して下さいと言われた)と思います。

私の経験上、業績が良く、資金繰りに困ったことがほとんどないという優良企業の社長さんは、たとえ資金繰り表を実際に作成していなくても、必ずといっていいほど、頭の中にはっきりと収入と支出の予定を把握されています。つまり、頭の中に資金繰り表ができているのです。

とはいえ、残念ながら、多くの経営者さんは、短期間の資金繰り計画どころか、今月末の支払い総額すら把握できていないというのが実態です。

そうなると、もう月末の支払いのことで頭がいっぱいになって、他の大事な仕事をあと回しにしてまで、とにかく急いで資金を調達しなければならない事態に陥ってしまいます。

もっと余裕を持った経営をするために、きちんとした「資金繰り計画」を作りましょう。最低でも向こう1年間の資金繰り計画を作成し、このまま売り上げが上がらなかったとしたら、いつ資金がショートするのか、月単位ではなく日単位で把握しておくことが重要です。

資金繰り表を作る目的は、「資金ショートを回避すること」です。

これは決算書だけをいくら眺めても出てきません。

決算書や試算表は、あくまで利益を管理するものであって、資金繰り表でもってしっかりと資金の見通しを把握していれば、資金不足に陥ることもなく、経営者さんが本来やりたいと思っていたビジネスチャンスへの取り組みに専念することができるようになります。

ぜひ、今すぐ、資金繰り表を作成し、資金管理に取り組むことをお勧めします。

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