建設業許可の概要を押さえよう

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  • 元請けに取れとは言われたけど、そもそもそんなのいるの?
  • 今までそんなこと言われたことなかったし、なくったって仕事には何の支障もなかったのに…ホントにいるものなの?

建設業許可は、500万円以上の契約をする(請け負う)には必要です。

500万円以上の契約をする場合には、この「建設業の許可」がないと受注できません(建設業法第3条)。でも、最近は契約金額にかかわらず、下請けとして参入するときに必要になることが多いです。

そもそも許可が必要な「建設工事」なのか?

ひとくちに「建設業」とか「建設工事」といっても、様々な業務が関係し、それらは請負契約などに基づいて内容がきまってきますが、そもそもその内容が、建設業法が定めるところの「建設工事」にあたらなければ建設業許可も必要ありません。

つまり、建設工事と思われているものの中には、必ずしも(建設業許可が必要となる)建設工事に該当しないものもあります。一例を以下に挙げておきますが、具体的なケースでは契約の内容及び業務の内容をごとに個別に判断する必要があります。

建設工事に該当すると考えられる業務

1.トラッククレーンやコンクリートポンプ車のオペレータ付きリース

オペレータが行う行為は、建設工事の完成を目的とする行為と考えられるため

2.直接の工事目的物でない仮設や準備工の施工

仮設・準備工事であっても建設工事の内容を有するため

建設工事に該当しないと考えられる業務

1.発注者から貸与された機械設備の運転管理

2.ボーリング調査を伴う土壌分析

3.工事現場の警備・警戒

4.測量・調査(土壌試験、分析、家屋調査など)

5.建設資材(生コン、ブロック等)の納入

6.仮設材のリース

7.資材や機材の運搬や運送業務(据付等を含まないもの)

8.機械設備の保守・点検(修繕等を含まないもの)

建設工事か否かということとは少し趣旨が異なりますが、不動産業者が、お客さまからの注文をうけて施工するのではなく、業者自らが施工し販売する「建て売り住宅」の場合は許可を必要としません。

したがって、専任技術者などで必要となる実務経験にも入りませんのでご注意下さい。

けっきょく何が必要なの?どうすればいいの?

取れるものなら取りたいけど、何が必要なのかネットで調べたり、知り合いに聞いたり…。

役所にも相談に行ってみたのですが、無愛想で、説明を聞いてもよく分からない。

ここに書いてあるとかあれを読めとか言われても、何のことやらって感じですよね?

まずは、この4つをチェック!

  1. 建設業の事業主として5年以上経っている
  2. 建設業に関する資格を持っている、もしくは建設業で働いた経験が10年以上ある
  3. 資本金が500万円以上ある
  4. 社会保険・雇用保険に加入している

他にも要件はありますが、まず、この4つをクリアしていれば、許可を取得できる可能性は高くなります。

1.建設業の事業主として5年以上の経験がありますか?

「経営業務の管理責任者」とは何ですか?

建設業許可を取るためには、「経営業務の管理責任者」という人がいないといけません。具体的には、建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有し、その経験が5年以上(許可を受けようとする建設業以外の場合は6年以上)ある方をいいます。

建設業での、法人の役員、個人事業主などの経験がその例です。

建設業の許可を受けるためには、この資格要件を満たす者が最低1人は必要で、確定申告書などの証明書類が必要です。

非常勤取締役としての経験があるのですが、経営業務の管理責任者として認められますか?

非常勤取締役としての経験は認められません。常勤であったことの証明が必要になります。

他の会社で取締役になっている人を経営業務の管理責任者にすることはできますか?

その他社では「非常勤」の取締役であって、申請する会社では「常勤」の取締役であるならば可能です。この場合も、常勤であることの証明が必要です。

2.建設業に関する資格もしくは建設業で働いた経験が10年以上ありますか?

建設業の許可を受けるためには、営業所ごとに「専任技術者」を置く必要があります。

「専任技術者」とは、請負契約の適正な締結や工事の履行を技術面から確保するために、営業所に常勤して専らその業務に従事する者をいいます。

この「専任技術者」は、許可を受けようとする建設工事に関して一定の資格又は経験を有する技術者でなければならず、また「専任」でなければなりません。したがって、他の営業所の専任技術者と兼ねることはできません。

専任技術者となるための実務経験とは何ですか?

一定の「実務経験」を有する場合、専任技術者となることができますが、この「実務経験」とは、許可を受けようとする建設工事に関する技術上のすべての経験をいいます。

したがって、建設工事の施工を指揮・監督した経験や実際に建設工事に携わった経験はもちろん、建設工事の注文者側において設計に従事した経験や現場監督技術者として監督に従事した経験も含まれます。

ただし、工事現場の雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。また、経験期間の重複計算はできません。

実務経験で専任技術者になる場合には、実務経験当時の常勤性及び経験内容を確認するための確認資料が必要です。また、実務経験を証明する者の印鑑証明書が必要となります。

出向者を専任技術者にすることはできますか?

出向者も専任技術者になることができます。

その場合、通常の常勤性の確認書類のほか、出向契約書や出向者の賃金の負担関係を示すもの、出向元の健康保険被保険者証等が必要となります。

「常勤性」を確認するための書類が必要です。

現に常勤しているかどうかを確認するための客観的な証明書類等の提出を求められます。

常勤性の確認書類として、主なものは、

  • 健康保険被保険者証(事業所名、資格取得年月日が記載されているもの)
  • 健康保険・厚生年金被保険者(資格取得確認及び)標準報酬決定通知書
  • 法人税確定申告書の役員報酬明細
  • 雇用保険被保険者資格取得確認通知書

などがあります。

3.資本金が500万円以上ありますか?

財産的基礎または金銭的信用とは何ですか?

一般建設業の許可を受ける場合、次のいずれかに該当することが必要です。

①自己資本の額が500万円以上であること

②500万円以上の資金を調達する能力を有すること

③許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

4.社会保険・雇用保険に加入は済んでいますか?

法人など法令上加入が義務づけられている場合、社会保険等には加入していなければ許可は取れません。具体的には健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つです。

ただし法人か個人か、常用の労働者は何人か、などによって加入すべき社会保険等が変わってきます。例えば,会社形態にしていて1人以上社員がいる場合は、社会保険と雇用保険に加入していなければ建設業許可を取得することはできません。

他には…

「営業所」はありますか?

建設業の許可を取るときの「営業所」には条件があります。

「営業所」とは、本店や支店など、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」のことをいいます。

契約締結実務を行うか否か

単なる登記上の本店・支店であって実体のないものや、建設業とは関係のない業務のみを行う本店・支店などは「営業所」とはいえません。

また、建設業と関係があるものでも単なる作業場や資材置場、連絡所、特定目的で臨時に設置される工事事務所なども、建設業法でいう「営業所」には該当しませんのでご注意下さい。

「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、契約締結の手続きなど、実質的に契約締結の行為をおこなう事務所のことを指します。

また、契約書の名義人がその営業所を代表する者ではなく、たとえば、本社の社長や専務などの名義であっても、契約の実体がその事務所で行われていれば、「営業所」に該当します。

複数の営業所がある場合は、建設業を営む営業所を統括し指導監督する権限を有する1ヵ所の営業所を「主たる営業所」といい、そのほかを「従たる営業所」といいます。

営業所には、営業所ごとにその営業所で営業する許可業種に対応する専任技術者を配置する必要があります。

このほか、「営業所」には帳簿の備付けおよび保存義務があり、事務所には許可標識の掲示義務があります。

一式工事と専門工事って何が違うんですか?

建設業の許可の種類には、2つの一式工事と26の専門工事に対応した許可の業種があります。それぞれの内容や一式工事の許可を得ている場合に、どのような工事を請け負えるかについては、次のとおりです。

「一式工事」とは

一式工事は、総合的な企画、指導および調整のもとに土木工作物または建築物を建設する工事です。

この中には、複数の専門工事の組み合わせで構成される工事、例えば、住宅の建築であれば、大工工事、左官工事、屋根工事、電気工事等を組み合わせた工事も含まれます。

なお、単一の専門工事であっても、工事の規模、複雑性等からみて個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれるとされています

「一式工事業」の許可があれば、すべての工事ができるのではないのですか?

建設業の営業において必要な許可の業種は、請負契約の内容により判断されます。

許可を必要としない「軽微な建設工事」を除いて、個別の専門工事の請負であれば、その工事に対応する専門工事の許可が必要であり、一式工事の許可では請け負うことはできません。

専門工事とは

建設業の営業において必要な許可の業種は、請負契約の内容により判断されます。

許可を必要としない「軽微な建設工事」を除いて、個別の専門工事の請負であれば、その工事に対応する専門工事の許可が必要であり、一式工事の許可では請け負うことはできません。

なお、一式工事を請け負った場合には、通常、一式工事の内容に個別の専門工事が含まれていますが、その施工にあたっては、それぞれの専門工事に対応した技術者の配置が必要となります。

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