取引先から「法人でないと契約できない」と言われたら?法人化と許可申請の進め方
「元請から法人でないと契約できないと言われてしまった」
—地元で長年一人親方として、これまで問題なく工事を続けてきても、突然法人化を求められるような場面もあります。
では、法人化をするだけで十分なのでしょうか。
法人化と同時に建設業許可も取れれば、受注できる工事の幅も広がります。
特に500万円以上の工事では許可がなければなりません。
そうすると、許可を申請するための「経管」と「専技」の要件を満たす必要があり、資格を持たない場合は「実務経験」で申請しなければなりません。「自分は大丈夫なのか」と不安になるのも当然です。
法人化と同時に建設業許可も取ることができれば、
元請からの信頼が高まり、より大きな案件や安定した仕事を受けられるようになります。
本記事では、40代前半の内装工事業の職人社長さんが、法人化と同時に建設業許可を取ろうとされたケースをもとに、
会社設立の具体的な流れや許可取得の要件、実務経験とはどういうものなのか考え方を整理して解説します。
法人化を検討している方にとって、すぐに役立つ実務の指針となるでしょう。
一人親方が法人化と同時に建設業許可を取りたいという場合
内装工事業・40代前半の職人社長のケース
地元で内装工事を一人親方として10年以上続けてきた四十代前半の職人社長。
更なる業績アップにつながりそうな、ある取引先を紹介してもらいましたが、その取引先企業から「法人でないと契約できない」と言われ、法人化を決意しました。
これをきっかけに、法人化と同時に建設業許可も取得し、これまで以上に幅広く仕事を受けられる体制を整えようと決められました。
社長ご本人には個人事業主として10年以上の経営経験があり、経営業務管理責任者(経管)の要件は社長ご自身で満たせる見込みがあります。
しかし一方で、専任技術者(専技)となるに必要な国家資格等はお持ちではいませんでした。
「実務経験でいけると聞いたが、自分は大丈夫なのか」との不安を抱えていらっしゃいました。
そこで、法人化の準備と並行して、この専技の要件をどのように整理していくのかがひとつの大きなポイントでした。
法人化を先に進める
建設業許可を申請する際には、法人の登記内容に基づいて申請書や添付書類を作成することになります。
つまり、商号や本店所在地、役員構成といった基本事項が確定していなければ、許可申請を進めることができません。
そのため、まずは法人化を早急に完了させることが、許可取得への第一歩となります。
会社の形態については株式会社か合同会社かを選ぶことになります。
株式会社は公証役場での定款認証が必要で、信用度を重視する場合や将来の資本政策を見据える場合に選ばれることが多い形態です。
一方、合同会社は定款認証が不要で、設立手続きもシンプルです。
いずれを選んでも建設業許可の申請するうえでは差はありませんので、自社の経営方針に合わせた形態を選ぶのがよいでしょう。
また、定款の事業目的には必ず「内装仕上工事業」といった文言を明確に入れておく必要があります。
ここが不明確だと、審査の時に「建設業者としての目的に該当しないのでは」と判断されることもあり得ます。
さらに、法人化にあわせて、営業所の実態を整えることも重要です。
机や電話、看板などの備えがあり、建設業を営む事務所としての態勢をきちんと整えておく必要があります。
法人化と許可申請をどう並べるか
実務的には、法人登記が完了してから建設業許可を申請する流れとなります。
ただ、登記の手続きと並行して、許可申請に必要な要件確認や書類収集を進めておくようにします。
これにより、登記完了後すぐに許可申請に移行でき、法人化と許可取得をスムーズにつなげることができます。
建設業許可に必要な要件
建設業許可を得るためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
一般建設業の許可要件
建設業の許可要件は次の5点で、このすべてに該当しないと許可は取得できません。
①経営業務の管理責任者を有すること(法第7条第1号)
②営業所ごとに置く専任技術者を有すること(法第7条第2号)
③誠実性を有すること(法第7条第3号)
④財産的基礎または金銭的信用を有すること(法第7条第4号)
⑤欠格要件に該当しないこと(法第8条各号)
専任技術者を実務経験で申請
所定の資格がない場合、専任技術者の要件を満たす方法として、「実務経験」が認められています。これは、定められた実務経験証明書を作成し、その裏付けとなる工事の実績など確認書類を提出することで行います。
証明書には各年の代表的な工事を記載し、その工事が本当に行われたことを示す契約書や注文書・請書、請求書などの書類を添付します。ここで大切なのは、内装仕上工事業を申請業種とする以上、その工事が「内装仕上」であることが明確にわかる書類を提出する必要があるということです。工事名や内容が漠然としているものでは工事の実績として認められにくいため、工事の種類や工期、請負金額などが確認できる資料をきちんと揃えることが重要です。
経営業務の管理責任者の確認
経営業務の管理責任者については、社長本人が個人事業主として10年以上の経営経験を積んできたため、これを根拠として申請します。その証明として、確定申告書や工事契約書などを用意し、経営が実際に継続して行われていたことの裏付けとして審査の際に提示します。
財務要件・事務所要件・社会保険関連の準備
建設業許可を受けるためには、財務面や社会保険でも一定の基準を満たしていなければなりません。具体的には、500万円以上の資金がある(一般許可の場合)など資金力を示す資料を整えることが求められます。また、営業所については、単なる登記上の所在地だけでなく、実際に業務を行える事務所が存在することが確認できる資料が必要です。
さらに、社会保険や雇用保険についても、法人として加入手続きを済ませていることが必要です。これらは設立後の届け出とあわせて社労士さんに確実に対応してもらいました。
申請の流れ
まとめると、実務の流れは次のようになります。
まず法人の基本事項を決定し、株式会社なら定款を公証役場で認証したうえで、法務局で設立登記を行います。
登記が完了したら、税務署や県税事務所などへの届出、社会保険や労働保険の手続きを済ませます。
この間に、建設業許可申請に必要な要件の最終確認を行い、申請書や様式の作成を進めます。工事の実績確認書類を整理し、申請書類として仕上げます。
そして設立登記やその他社会保険関連の手続きが完了したら、建設業許可の申請窓口へ提出して審査を受ける流れとなります。
法人化と許可申請を「別々に」進めるのではなく、できる限り「並行して」準備することで、法人化と同時にスムーズに許可を取得できるようになります。
行政書士からのアドバイス
今回のケースは、長年一人親方として仕事をしてきた職人社長が、法人化を機に建設業許可取得を目指すというものでした。
経営経験は十分にあるため経管の要件は満たせますが、専任技術者は資格がなく、実務経験で証明する必要がありました。
この場合、各年の代表工事を裏付ける契約書や請求書を提出することが必要です。
法人化は許可取得のための前提であり、会社の形態や目的、営業所の実態、役員体制を整えることが不可欠です。
そして、許可の要件を一つひとつ確実にクリアしていくことが、法人化と同時に許可を得るためのポイントになります。
資格がなくても、実務経験を積み上げ、きちんと書類を整えていれば十分道は開けます。
大切なのは、不安を抱えたままにせず、早めに準備に着手し、確実に進めることです。
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