建設業許可で必要とされる「経営業務の管理責任者」とは何ですか?
建設業許可の申請には、
まず、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして、国土交通省令で定める基準に適合する者であること」が必要です。
これはどういうことなのでしょうか?
この要件は、さらにふたつに分かれて、
1.常勤役員等(経営業務の管理責任者等)及び当該常勤役員等を直接に補佐する者がいること
2.適切な社会保険に加入していること
という要件となります。
適切な社会保険に加入していること
事業所の形態等により、社会保険等が適用除外となる場合もありますが、建設業許可を申請する者は、健康保険・厚生年金保険や雇用保険に加入していなければなりません。
常勤役員等 及び 当該役員等を直接に補佐する者について
建設業許可でいう「常勤役員等」とは
法人の場合は、その役員のうち常勤の人のこといい、
個人事業主である場合には、その人か支配人となっている人のことをいいます。
また、「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいいます。「業務を執行する社員」とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは、株式会社の取締役をいい、「執行役」とは、指名委員会等設置会社の執行役をいいます。
許可を受けようとする者が法人である場合には、常勤の役員のうちの1人が、
個人である場合には、本人または支配人のうちの1人が、
次のイ、ロまたはハのいずれかに該当していることが必要となります。
なお、この経営業務の管理責任者については、その要件を満たしていることについて、その経験及び常勤であることの確認書類(証明書類)が必要です。
イ 常勤役員等のうち一人が次の( a1)(a2)(a3)いずれかに該当する者であること
(a1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(a2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(a3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者又は
ロ 常勤役員等のうち一人が、次の( b1)(b2)いずれかに該当する者であって、
かつ、
当該常勤役員等を直接に補佐する者として次の( c1)(c2)(c3)をそれぞれ置く者であること。
■常勤役員等のうち一人が、
(b1)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
※「役員等に次ぐ職制上の地位」とは、当該地位での経験を積んだ会社内の組織体系において役員等に次ぐ役職上の地位にある者をいい、必ずしも代表権を有することを要しません。
(b2)5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者
■常勤役員等を直接に補佐する者として、
(c1)許可の申請を行う建設業者において 5年以上の財務管理の業務経験を有する者
(c2)許可の申請を行う建設業者において 5年以上の労務管理の業務経験を有する者
(c3)許可の申請を行う建設業者において 5年以上の業務運営の業務経験を有する者
を置くものであること。
(c1)( c2)( c3)における業務経験については、
【財務管理の業務経験】建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどに関する業務経験(役員としての経験を含む。)をいいます。
【労務管理の業務経験】社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きに関する業務経験(役員としての経験を含む。)をいいます。
【業務運営の業務経験】会社の経営方針や運営方針の策定、実施に関する業務経験(役員としての経験を含む。)をいいます。
また、「直接に補佐する者」とは、組織体系上及び実態上常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、当該常勤役員等から直接指揮命令を受け業務を常勤で行うことが必要です。
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。
常勤とは?
本社・本店において、休日などを除いて、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している者で、かつ、報酬が一定の額以上ある者をいいます。
なお、建築士事務所を管理する建築士や、宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士等の他の法令で専任を要するものと重複する場合、「常勤であるもの」には該当しません。ただし、専任を要する営業体及び場所が同一である場合など、例外はあります。
支配人って、何ですか?
「支配人」とは、営業主に代わって、その営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をなす権限を有する使用人をいい、これに該当するか否かは、登記されているかどうか基準として判断されます。
経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者とは何ですか?
法人格のある各種組合等の理事などのことをいいます。
執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等は原則として含まれません。ただし、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等は該当します。
その経験は、取締役会設置会社において、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従って、代表取締役の指揮および命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験をいいます。
経営業務の管理責任者としての経験を有する者とは何ですか?
経営業務を執行するなど、建設業の経営業務について、総合的に管理した経験を有する者のことをいいます。
これは、原則として常勤であった者で、取締役、業務を執行する社員、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等のほか、
個人事業主又は支配人その他支店長や営業所長など、営業取引上対外的に責任を有する地位にあるものをいいます。
専任の技術者と同じ人でもいいですか?
上記のような、経営業務の管理責任者に該当する者が、営業所に置かれる「専任技術者」としての基準を満たしている場合には、同一の営業所(原則として本社、本店等)内に限って専任技術者を兼ねることができます。